本市所有の歴史的建造物である清閑亭について

本市所有の歴史的建造物である清閑亭について、世間では様々な噂が飛び交っておりますが、事象者選定は、一切の不正がなく、適正に行われております。
事業者選定は令和3年7月に行われ、何度も議会報告しているにも関わらず、市長選挙直前に、このような報道や噂が飛び交っていることに違和感を感じます。ここで、改めて真実をお伝えいたします。

まず、背景として、本市には様々な歴史的建造物があります。私は県庁職員時代に相模湾沿いに存在する「邸園文化」を地域資源として保存活用するプロジェクトを、同僚職員と立ち上げ、当時の松沢知事に提案し、正式に県の政策に位置付けられました。
歴史的建造物の保存活用には多額の費用を要します。それがネックとなり除却が相次ぐ中、所有者に保存活用を投げかけるとともに、自治体に対して公有化を提案しました。小田原市は小澤市長時代から、公有化を積極的に推進している自治体だと思います。

話を清閑亭に移します。清閑亭は平成20年1月に市が取得し、平成24年からNPO法人に年間1300万円~1800万円(累計額1億5000万円以上)で管理運営を委託してきました。
その後、様々な施設を公有化する中で、歴史的建造物である清閑亭の魅力をさらに発信するために、民間提案事業の第1号案件として、民間事業者に提案を募りました。選定の結果、別邸料理を提供する事業者が優先交渉権者に選定されました。
これにより、清閑亭に新たな魅力が加わり、庭園及び2階部分は従来通り一般に開放され、1階部分は飲食店として営業が開始されております。加えて市には年間240万円の貸付料が入ることになりました。

それでは、皆さんのご質問にお答えしてまいります。

1 事業者の選定について
Q 事業者の選定は適正に行われたのですか?
A 事業者選定は適正に行われました。
事業者の選定は、公募時に公開した「実施要領」に記載された審査方法と「清閑亭特記事項」に記載された審査基準に基づき適切に実施されており、特定業者への配慮は全くありません。
なお、事業者選定及びその後の協議の進捗状況に関しては令和3年9月議会、令和4年12月議会、令和5年12月議会で報告しております。市長選が近づいてきた段階で、不正が働いたかのような報道や噂の拡散には違和感を感じます。

2 史跡(清閑亭土塁)への影響について
Q 増築工事により、史跡が破壊されるのではないですか?
A 今回の利活用に関して、史跡の毀損は全くありません。
国指定史跡清閑亭土塁(土地)のうち、南側の貴重な場所は市が直接管理しており、利活用事業の範囲には含まれていません。
また、清閑亭が建っている北側の場所は、近代以降に切土・盛土で造成されており、遺構は残っていません。この場所は70センチ以上盛土されており、今回の増築のための25センチの掘削は、史跡には全く影響はありません。

3 厨房増築の経緯について
Q 当初予定のなかった厨房の増築に関して特別な便宜を図ったのではないですか?
A 利活用事業者の選定後に公募条件を変更して、増築の便宜を図った事実はありません。
民間提案制度は、審査項目を提示した上で広くアイデアを募集し、採用された提案は、詳細協議という対話の中で改良していくことがあります。詳細協議の中で有益な提案は取り入れております。

4 貸付料について
Q 貸付料が安すぎるのではないですか?
A 貸付料は市の基準に基づき算定したもので、他の市有財産の貸付料と比べて極端に安いわけではありません。
貸付料は、貸付範囲を利活用に必要最小限の箇所に限定し、小田原市財産規則に基づいて算出(年間240万円)しました。

なお、より詳しい説明は次のとおりです。

1 事業者の選定について
Q 事業者の選定は適正に行われたのですか?
A 事業者選定は適正に行われました。
事業者の選定は、公募時に公開した「実施要領」に記載された審査方法と「清閑亭特記事項」に記載された審査基準に基づき適切に実施されており、文化財の私物化や特定業者への配慮は全くありません。
募集に先駆けてサウンディング型市場調査(民間事業者からの意見聴取)を行い、意見を参考に利活用方針を決めた上で、民間提案制度を活用した提案募集を開始しました。
審査は審査委員会が外部有識者のアドバイスを踏まえて行いましたが、これは実施要領で事前に公表していた方法に従ったものです。
審査の結果、株式会社JSフードシステムが優先交渉権者に選定されましたが、清閑亭を文化・歴史の発信拠点であると共に食文化など「小田原ならでは」をテーマにした施設にしたいという市の思いと、食を通じて「小田原ならでは」の文化を発信しつつ市内事業者や近隣地域とも連携しオール小田原で清閑亭を創り上げていくという提案内容が合致し、評価されたものです。

2 史跡(清閑亭土塁)への影響について
Q 増築工事により、史跡が破壊されるのではないですか?
A 今回の利活用に関して、史跡の毀損は全くありません。
清閑亭が立地する国指定史跡清閑亭土塁(土地)のうち、南側の竹林付近は、戦国時代に小田原北条氏が築いた堀、土塁、かきあげが良好な状態で残っており、かつての小田原城の一端をうかがい知ることができる大変貴重な場所です。この場所は、市が直接管理しており、利活用事業の範囲には含まれていません。

また、北側にある平坦部、すなわち清閑亭が建っている場所は、近代以降に切土・盛土で造成されており、遺構は残っていません。盛土は70センチ以上あることが確認されており、今回の厨房を増築するための25センチの掘削は、表層部分に留まり、史跡には全く影響はありません。

3 厨房増築の経緯について
Q 当初予定のなかった厨房の増築に関して特別な便宜を図ったのではないですか?
A 利活用事業者の選定後に公募条件を変更して、増築の便宜を図った事実はありません。
利活用事業者の選定後に公募条件を変更して、増築の便宜を図った事実はありません。
プロポーザル型の事業者選定が詳細な仕様書を作って事業者を募集するのに対して、民間提案制度は、審査項目を提示した上で広くアイデアを募集し、採用された提案は、詳細協議という対話の中で改良していくこともあります。公募の際に、提案の実効性を高めるため、史跡に影響を及ぼす提案に制限をつけましたが、詳細協議の中で、事業者から登録有形文化財の火災リスクと事業展開を両立させるために、厨房を主屋の外に設けたいとの相談がありました。

清閑亭の主屋の保存にあたっては、主屋での火気使用は避けるべきです。
そこで、提案主旨の妥当性や、増築部分が人目につかない裏手であり(道路からは屋根の一部しか見えません)、景観に影響がないデザインや色調であること、また、史跡の観点からすると、平成29年の調査時に近代の盛土が70センチ以上あることが判明していたため、今回の25センチの掘削では、「史跡に影響を及ぼさない範囲の増築である」と判断して、文化庁との協議を開始したものです。
文化庁からは、厨房の増築にあたって「史跡小田原城跡清閑亭土塁及び登録有形文化財清閑亭における保存活用計画」を策定し、史跡小田原城跡調査・整備委員会の承認を得るようにとの指示がったため、第2回及び第3回の整備委員会に諮り、承認を得ました。その上で、現状変更申請を文化庁に提出し、令和5年4月21日付で文化庁の許可をいただいものです。

4 貸付料について
Q 貸付料が安すぎるのではないですか?
A 貸付料は市の基準に基づき算定したもので、他の市有財産の貸付料と比べて極端に安いわけではありません。
貸付料は、貸付範囲を利活用に必要最小限の箇所に限定し、小田原市財産規則に基づいて算出しました。1ヶ月20万円、年間240万円の収入のうち、200万円は庭園整備に、40万円は清閑亭主室の修繕に使うことで、市の支出を抑えると共に、文化財保存活動と経済活動の好循環を創出します。

5 契約関係について
Q 正式な小田原市との契約前に事業を開始してもよいのですか?
A 事業者と小田原市との一連の契約は適正に行われております。
増築工事は、詳細協議に関する協定→覚書(基本合意)→定期建物等賃貸借契約及び覚書という一連の手続きの中で適切に実施されています。
厨房の増築工事やお披露目会、市による修繕工事は、令和5年5月26日に締結した覚書(基本合意)に基づいて行われたものです。定期建物等賃貸借契約の締結は令和6年3月7日ですが、契約とはお互いの意思の合意であり、約束した内容を書面に残すという点で、覚書も契約書も効果は同じです。
なお、お披露目会の最初の4回が営業許可前であったことについて、小田原保健福祉事務所から厳重注意を受けたことは大変遺憾です。事業者から報告を受けた直後に、市として事業者に対して、再発防止と適切な運営について申し入れを行いました。

6 近隣関係
Q 近隣とのトラブルがあると聞いてます
A 近隣住民の方々や地域の方々とは、しっかりと対応しております。
・庭園への門に鍵がかかっていて入れないとのご指摘には、見学希望者に分かりやすいように、案内表示の看板を設置しました。なお、門は以前から設置しています。
・送迎の車が方向転換の際に隣地に侵入するとのご指摘には、転回禁止の看板を立てました。
・利用者の路上喫煙には、敷地内禁煙・路上喫煙をご遠慮頂きたい旨の看板を設置しました。
・厨房からの騒音については、一番大きな換気扇に消音装置を設置しました。
・清掃用ブロアーの音が大きいとのご指摘には、器具をガソリン式からバッテリー式に変更し消音に努めました。
・プライバシーへの配慮は、坂を登り切ったところに柵や止石をおいて視線を逸らしました。
・県道沿いに設置した看板が通行の妨げになるとのご指摘には、地域の方を含む関係者が立ち会い、一時的に看板を撤去し、今後改めて、関係者立ち会いの下で移動場所を決定します。

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